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 環境デザインのたしなみ > 環境デザインの領域 > 住民参加のデザイン

 住民参加のデザインとは

 住民参加のデザインを行う上で、知っていてほしい基礎的な知識を「未知普請 レビューシリーズ」という文献の中からご紹介します。

  (出典:未知普請 レビューシリーズ、国土交通省中部地方整備局)
※1 緑文字での表記は上記文献・サイトからの引用物を示す, ※2 語尾をです・ます調に変更した

 住民が道路事業に参加する取り組みとして、下図のものがあります。これらには、それぞれ長所と短所があるため、道路事業の性格や住民との対話に求められる質などを勘案し、最も適した住民参加手法を活用することが重要です7。
以下に、住民参加の形態と形態ごとの特徴を示します。


住民参加の形態


住民参加の形態ごとの特徴

 

 これらの住民参加形態の中で、道路改築を通して道路空間整備を行う際にもっとも適する形態のひとつと考えられるワークショップについて触れます。
対象となる事業においてワークショップを実施するまでのおおまかな流れは以下のようになります。この中で、目的・目標の設定が最も大切なポイントであり、ワークショップを価値あるものにするためにも、「なぜ、何のためにワークショップを行うのか」という目的と、「個々の課題や問題点を解決するための手段や方法」「目指すべき成果は何か」という目標を明確にすることが重要です。



ワークショップ実施までの流れ

 

 また、事業の内容によってワークショップを通した合意形成のプロセスは様々です。そのプロセスは、ワークショップの目的の違いにより、概ね以下のように組み立てることができます。この合意形成のプロセスを意識することで、ワークショップの組立てを明確にすることができます。



ワークショップでの検討プロセス例

 

 住民参加のデザインとしてワークショップが取り入れられることは、今日ではごく一般的なことになりつつあります。また最近では、ワークショップに変わって「ワールドカフェ」という住民参加の手法も活用されはじめています。

ワールド・カフェとは、「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考え方に基づいた話し合いの手法です。ワークショップとの違いは、端的にいうと、ワークショップがその集まりの中で何らかの結論を導き出すことを到達目標とするのに対して、ワールドカフェは結論を導き出すことを到達目標にしない、という点です。特に、その集まりで何らかの結論を導き出すことまではせず、住民の共通理解や意識啓発などが目的である場合などには、有効な手法のひとつとなるでしょう。

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 デザインする対象物

 住民参加のデザインにおいて、デザインする対象物、言いかえれば住民参加を取り入れる場面は、おおむね以下の場面が考えられます

  • 住民参加型のまちづくりを考える場面
  • 地域のコミュニティを支えるハード・ソフトのあり方などを考える場合
  • 地域に根ざした公共交通を考える場面
  • 新しく建設する道路のルートや道路形式を住民とともに考える場面
  • 住民参加型の街路や歩道、生活道路づくりを考える場面
  • 住民参加型の川や水辺づくりを考える場面
  • 住民参加型の道路橋や人道橋づくりを考える場面
  • 住民参加型の駅前広場や公園づくりを考える場面
  • 地域に現存する森や緑地などの保全を考える場面

など。

 環境デザインの領域として位置づけたほぼすべての領域で、住民参加をデザインする機会にめぐり会えることができるかもしれません

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 デザイン活動の場

 住民参加のデザインにおけるデザイン活動の場は、住民との接点の多い行政、コミュニケーションに長けたデザイナー、設計者や土木技術者などが中心となります。代表的なデザイン活動の場をいくつか挙げてみましょう。

  • 主として市町村の行政機関(市民活動推進やまちづくりなどの部署)
  • 住民とのコミュニケーションを得意とするデザイン事務所や建築設計事務所
  • 住民とのコミュニケーションを得意とするの建設コンサルタント

など。

住民参加のノウハウを持っている行政職員やデザイナー、土木技術者などは、実はそんなに多くはありません。デザイナーは、住民とのコミュニケーション技術をもっともっと学び、デザイン活動の場で実践していく必要があるでしょう。

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